詩人:どるとる
いつのまにか
こんな場所に咲いていたよ
花として咲いていた
生まれたことをうらむよりも今生きていることを不思議がることに手一杯の僕らさ
道連れにされるようにどこまでも日々は流れ
この川は僕をまだ泳がせる
あの日もしもここに咲けなかったら
僕はこんなふうに笑ったり泣いたりすることさえできなかった
僕を涙させる悲しみさえ生きているからこそ感じられる特別な物種なのさ
身も心も朽ちてゆくまでこの夢は僕を目覚めさせない
ずっと夢の中で僕は生きていくしかないらしい
なぜか苦しみも痛みもない暗い場所よりも
苦しみも痛みもある明るい場所を選んで生きてるよ
そこには暗闇にはない鮮やかな朝と心を潤す喜びがあるから
心にまたひとつ傷跡刻んでも虹色の涙を流してつかの間の喜びに気をゆるしてはまた悲しみに暮れる
そんな日々を選んだ
こうして生きることを続けながら続けながら
僕はこの場所に咲けること 咲けたことを幸せに思うのさ
今ここにあるたしかな命の表情を愛せたから 愛したいと思ったから
僕は咲いている
僕は咲いていく
ここで ただ一人
花として 人として
日々、命を削りながらもその切なささえも素晴らしい詩にして生きていくんだ
今 虹色に涙は輝いて僕を包むよ。