詩人:老女と口紅。
恋は
見えない
クモの糸
うかつに
あの子に近寄ると
怪しい魅力に
とりつかれ
絡め採られてしまう
気をつけな‥
あぁ、だけど
変なこと言うなよ
俺 明日もあの子と
デートなんだ
なぁ、最近のお前
随分と
痩せたんじゃないのか?
そうだよな
毎日の外食は当たり前
休日なんて毎回お出かけ
でもって
プレゼントは欠かさない
もぅ ヘトヘトだよ
僕にはもぉ
彼女に与える物など
何も無いんだ‥
けれど彼女は
ねだるんだ
その仕草が
たまらなく可愛くて
そしてまた
無理をしてしまうのさ
そう言って笑いながら
力尽きた僕は
地面にポトリと落ちた
震えながら
かすむ目で
上を見てみる‥
するとそこにはまた一人若い男が
あの子に絡め採られてた
恋は
見えない
クモの糸‥