詩人:どるとる
呆れるくらい見つめ合って
重ねてく 二人の時間
かけがえのない一度きりの大切な二人の時間
わからないものなんだね こんなに時間を重ねても
見えないものばかりで 君の心の中さえわからない 僕だよ
すれ違うたび 気づく あなたの大切さ
存在の大きさ
少しずつ歳をとるたびに 会話もなくなって 気づくと それぞれ別々の時間を生きてる
いつからこうなってしまったのか 僕らは
背中合わせの夜
挨拶もなく出かける朝
気づくといなくて
いても話もなくて
そんな二人がいる
愛しているから
夫婦になったのにね
不思議だね
愛していてもいなくても
夫婦は夫婦だ
あなたはそこにいるんだ
私が今ここにいるように
愛はたしかにここにあった
だけれど今ここにはない
夫婦の明日 夫婦の未来
あの頃の僕らの面影は今あるでしょうか 悲しいほど消え失せた笑顔
部屋の中 ドアの外
あなたは今どこにいる? あの頃の私ならあの頃の僕なら
気にし過ぎて 落ち着かないはずなのに
なぜ僕はなぜ私は
今あなたがいてもいなくても心が騒がない
あの頃ここにいた夫婦は今はここにはいない
ここには夫婦がいる
だけれどあの頃の夫婦じゃない
重ねた時間の数だけ
過ごした思い出がある
だけれどそれ以上の愛があるんだ
触れたら 火傷しそうな熱い熱い愛が燃えていたんだ
だけれど 今は冷めきったマグカップに注がれた珈琲のように
ほんの少しの甘さを残したままで
テーブルの片隅に誰も飲まずにそこにあるみたいに 大事な何か置き忘れたまま
お互いに 偽りの時間の中を生きてる
時間の中を生きてる。