詩人:高級スプーン
たった一つ
欲しがっていた
大切なものを
投げ捨ててまで
手に入れたかったものは
何だっけ
液晶の壊れた
パソコンのように
口元だけ笑っていた
君の顔には
ほとんど何も
映されていなかった
そうじゃない
僕のやりたかった事はと
さらさらと落ちる
砂の中
輝く日々の
見えない場所へ
身を置いた
泣いていたのに
夢を聴いて
君の隣から
外れてしまった
金色の粒を
集めていたなら
震えだって
怖くなかった
二人にとっての
理想郷だって
胸を張れたのに
今はもう
昔だと
僕が言ったとしても
反応のない世界は
砂山を作った事だって
思い出せないんだね
素晴らしい恋をして
人生を終えようなんて
善人面して
風に舞う未来に
輝き散るものは
永劫にありはしない