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[179999] 落書きみたいな人生

詩人:どるとる


僕は名画みたいな
人生は送りたくない
ささやかでも幸せな
そんな人生がいい

例えばさ 街の壁
例えばさ 塀の隅
例えばさ トンネルの中にある誰かが描いた落書きみたいな
そんな人生でいい

気づかれなくても
気づいてくれてもいい
僕はやがて消える運命にあるから
それまではうだうださせて ああだこうだ言わせて

ちょっと楽しくて
ほんの少し悲しくて
どこかしらおもしろくて
端々に涙ちらついて
そんな人生がいい

子供が悪戯心で描いたような 下手でもどこか味のある そんな落書きみたいな人生がいい

明日も続く 道の上
雨は降り日が降り注がれる
街は変わらない
人が流れ ダイヤは進む 相変わらず僕は欠伸ばかりしている
それでもこんな毎日でも捨てがたくて死ぬのは嫌だ

だから描くんだと思う
落書きみたいな絵でもいい
ちょっと爪痕残すような
あがいた跡を残すような
そんな抵抗見せたいな

僕が僕であった証に
僕が僕である証に

少し 頑張る
ちょっと苦労する
そして描いた
人生が
例えば今日の
一筆で何かが 変わるなら 僕は塗り残しのないように一枚の絵を仕上げるよ
だけど名画にはならないししないよ

どこにでもあるようでここにしかない
そんなありふれてるけどどこかに光るものがある

そんな絵のような
人生がいいな

才能のない誰かが戯れに描いた落書きみたいな人生でいい。

2012/12/21 (Fri)
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