詩人:どるとる
言葉は何も要らない
思い出さなくていい
通り過ぎてくものを
引き止めるつもりもない
帰る場所を探して
人は歩き続ける
朝へと帰る夜は
また街にやって来た
流れる人の波に乗り
僕は終電に揺られる
窓は鏡に変わって
僕の冴えない顔を映した
こんなふうに
明日も僕は
生きるのかな
そうやって
何年後も何十年後も
変われずにいるのかな
改札を出て 見上げた空に輝く月に話しかけてみるのさ
遠ざかるように
心なしか離れてく
夢も理想も若さも
乗り過ごしたんじゃない降り損ねたんだ
長い長い夢を見ていたよ
気づけば もう僕はいろんなものをなくしていた。