詩人:どるとる
僕の欠伸のひとつ
終わるか終わらないか
その瀬戸際そのあと
消える命もあるさ
せっかく生まれてきて 申し訳ないけれど 消えてもらうしかありません
了解もないままにおろされる子供の瞳にはまだ青い空さえ映ってない
簡単に命を見誤ったら きっと命の重さなんて 尊厳も何もなくなって そこらへんに落ちてる空き缶や吸い殻と同じになってしまう
命と命が重なり合って 新しい命がそこに生まれる
例え生まれる場所や授かった境遇は違っても 同じように愛されるべきだ
同じように見つめられるべきだ
何かが間違っている世の中だな
不意の痛みならきっと何も思わない
その痛みを耐えてまでも産み落としたから 命はきっと尊く重たく魂に深く突き刺さるように この身に負荷をかけている
命は命でも引き換えにできない 命があなたの胸に抱かれるまで
例え世界が滅び去ろうと 変わらない眼差しで瞳の中にあるから 愛しようと腕を伸ばすけど 無垢なその白い心には僕の邪悪が映る
それでも優しく微笑む命に 僕は何かを感じたから
平和だ愛だと謳うのに 世界はいまだ昔と変わらずに 馬鹿な茶番を続ける 争いは命を無碍にするだけで
捧げる言葉もないままに銃器の前に 人はただ紙屑のように散る
ああ あなたの小さな胸の中に
生まれてきて本当に良かったと刻んであげたい
当たり前なことさえわからない大人に命をどうこうし得ることなどできるはずもなく 悲しみがあとからあとから生まれるだけ
命と命が折り重なって 新しい命がそこに生まれる
例え生まれる場所や授かった境遇は違っても 同じように愛されるべきだ
同じように見つめられるべきだ
遠い異国の誰かの死
同時刻生まれる命
始まりと終わりをはらんだまま 同じ世界で命は交錯してはすれ違う
あなたの足元で
踏みつけられた花に重ねる 命の在りし姿。