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[180243] まほろば

詩人:どるとる


私は実態のあるものでもあって
私は影のような朧気なものでもある

私はなんの価値もない偽物でもあり
見方によれば値段もつけられぬ価値ある代物かもしれない

私は鳥のように空を飛ぶことはできなくても
私は獣のように大地を駆けるすべを知る

僕はここにいるよ
でもどこにも存在しない
最初から何もなく
いつの間にか名を持ち
私は僕と名乗った
でもそれさえ僕を証明する迄には及ばず

ただまほろばのように さまようだけの日々を 死に物狂いで暮らすけど
僕は何者なのだとか
僕はどこから来たのか
確かなことはわからないまま それでも私は僕をつづける

私の存在は時間を定められている
でもいつ時間が来るのかそれはわからない

私は輝く宝石のようでもあり
私は時に道端に落ちている空き缶や吸い殻のように価値のないゴミにもなる

私は私の確固たる意味を知らず私は私の正体さえわからず
カゲロウのように儚く揺れる


僕はここにいるよ
でもどこにも存在しない
最初から何もなく
いつの間にか名を持ち
私は僕と名乗った
でもそれさえ僕を証明する迄には及ばず

ただまほろばのように さまようだけの日々を 死に物狂いで暮らすけど
僕は何者なのだとか
僕はどこから来たのか
確かなことはわからないまま それでも私は僕をつづける

僕がいることも
もしかしたら嘘なのかもしれない
終わりまで僕は僕で
言い換えれば僕でしかなく
それ以上でもそれ以下でもないから

そう夢幻のように 漂う 酸素で満ちた海の中 死に物狂いで泳げども
あなたは何様なのか
僕は一体誰なのか
確信に至るまではいたらず 不確かなままでも僕をつづける

無傷じゃいられない
無事じゃいられない
だけれど生きるのさ
言葉にできぬ思いも全て

まほろばのようにさまようだけの日々にいつか 光が灯るようにと願いは屋根よりずっと高く浮かぶ。

2013/01/04 (Fri)
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