詩人:どるとる
寂しさに聞いてみる
僕は 幸せそうに見えるか 涙にさえ
目をそらす 君にはわかるまい
むなしさに説いてみる
僕が 笑ってるように見えるか いつも
耳を塞ぎ目を閉じて 大事な場面見逃して
通り過ぎる 人の連なり 孤独が服を着て歩く 無関心が看板掲げて 愛想とお世辞を売りさばく 僕は言葉もなく己を罵った
こんな夜じゃ眠れない こんな朝じゃ目覚められない
まばたきの合間に 消える人の 命の重さ量る秤もないままに
ただ 僕の命とあなたの命を 見比べて何を見出そうというのか
誰にもわからない
誰にも見えない
明日の天気や
出会う人の数
心もよう 小さな出来事 覚える名前
だからせめて 今日枯れる花に 僕の精いっぱいの笑顔を見せてあげたいと思うんだ
自販機の明かりが遠く揺れている 通りは夜 顔も判別できない
許されざる罪の判決は けっして満足できる答えを生まない
ただ流されるまま
覚えきれない掟のどれひとつ 人のためになることがあるのなら 僕は遠くで散りゆく小さな花の 最後の笑顔や涙を 指差しこれが平和かと叫びたい
こんな夜には光は見えず こんな朝には日射しさえ暗い
生あくびの傍ら 消える人の笑顔を記憶する媒体もないままに
ただ僕とあなたの違いがなんだというのか
心は残す 思い出を その中に込められた痛みや 苦しみさえ余すことなく閉じ込める
だから僕は一度のまばたきさえ 惜しいと思う
そのまばたきの間に 大事な何かが消えてしまいそうで。