詩人:どるとる
ただいまの声が 聞こえたら なんだか心がやさしくなる
おかえりなさいの声が 聞こえたら 今日はそれだけで幸せ
ただいまと言える人がいつもいること
おかえりなさいと言ってくれる人がそばにいること
それだけできっと十分幸せなんだろう
今日もたくさんの人のそれぞれの帰り道
子供が帰りを待つ お父さんの帰り道
優しいお母さんが待つ 子供の帰り道
疲れた顔で 腹減ったって 言いながらひとり 家路を歩く僕の帰り道
いろんな人の帰り道がある
いろんな今日を過ごしたあとの
涙も笑顔もひとつに混ざり合って
何も言いっこなしさ
ただ言う言葉はひとつだけ
待ちかねたあの人にはただいま
ずっと誰かを待っていた人にはおかえりを届けるんだよ
さみしくてもね切なくてもね
ひとりにひとつ与えられた命が
ドアを開けて 帰ってくる
それを誰かが 待っている
ただいまおかえり その繰り返し
明日もあさっても変わらないように
あなたの帰りを待つ誰かに無事をしらせて
そして確かにおかえりなさいを受け取って
そして誰かを待っているあなたがいるなら
誰かの帰りに とびきりのおかえりを届けて
当たり前な暮らしの中 当たり前に聞こえる
その他愛ない挨拶が
どんな時代でもどんな世界でも 人と人が折り重なり生きるかぎり 変わりませんように
そして今日も僕は届けるんだ
あなたにただいま おかえりを言うのはあなた。