詩人:緋子
面倒だからといって
心を開くのを諦めても
ゴロゴロと音を立てる雲のように
胃の中で怒りは渦巻き続けながら
雷の落とし場所を求めているよ。
口から、目から、胸から、腕から
ふとした瞬間漏れてあふれる
黒い煙のそれ。
立ち込める暗雲を、必死で押し留めようとするけれど
指先からするすると流れてしまう
隠せない
隠すのは面倒
だけどもう、私
そこにしか
自分をうまく表せないよ。
真っ赤な隙間風を通して
色んなものを詰め込んだこの脂ぎった喉の奥を、
さらっと一掃できたらな。
きっとはっとするようにして
私は目を覚ます
大人がそれをゆるさない
自分と言う未完成の大人が
私と言う未熟な子供を
黙って歩けばいいの と
すべてを制止する眼つきで威圧してる
乾いた日常に
からからの、胸の奥
涙が満ちるよりも先に
真っ赤に切り落として堕ちてしまおう
予感はさらりと煙になり、静かに消えていく