詩人：夜深

それはついさっきのこと
あたし　泣き出したの　突然

だって
今　あたしが座ってるこの椅子は
誰かがとんでもなく座りたかったものだもん

今　呼吸すること　話すこと
今　目を開くこと　聴こえること
今　恋をすること　愛すること
今　愛されること　生かされること
今　夢描くこと　未来信じること

こんなに普通にできてることが
私には普通、のことだし
君にも普通、のことでしょ
でもさ　でもね
世界は広いんだよ
この椅子に座れない私だって君だって
この世界を探せばいるかもよ

世界は広い　世界は狭い
どちらがほんとうなのかな

心は広い　心は狭い
どちらがほんとうなのかな

心はあたたかい　心はつめたい
どちらがほんとうなのかな

さあ
椅子とりゲームをはじめよう
君と私　明日笑うのはどちらかな

椅子とりゲームの勝者は
この椅子に座り　ふんぞり返って
膿んだ世界の固まりを日々　見下ろしてる

あたし　わめき出したの　さっき

だって
今　あたしが座ってるこの椅子は
誰かがしにそうなくらい勝ち取りたかったものだもん

今　今日が終わること　明日がはじまること
今　目を閉じること　眠りにつくこと
今　勉強すること　だらけること
今　愛されること　生かされること
今　夢描くこと　人を信じること

こんなに普通にできてることが
私には普通、のことだし
君にも普通、のことでしょ
でもさ　でもね
世界は広いんだよ

椅子とりゲームの椅子は
いつだって　あと残りわずか
ぐずぐずしていちゃ座れない
その重い腰を持ち上げて

さあ
椅子とりゲームをはじめよう
君と私　明日泣くのはどちらかな

椅子とりゲームの敗者は
この椅子の下にひれ伏し　土下座をして泣いてる
輝いた世界の空の上の上を日々　見上げてる

いつ終わるのかな　この椅子とりゲーム
いつか終わるかな　この意味なしゲーム