詩人:さらら
彼の人生は
生まれた時から
決まっていた
養鶏場の主
卵売り
彼は十歳の頃
その事を知った
テレビもラジオも本さえなかった
養鶏場以外の外を
背が高くなるまで知らなかった
ある自然災害が発生し
彼は生まれて始めて
養鶏場以外の外の地を知った
様々な事実を知った
彼はその数年後
養鶏場 以外の土地に住みたいと伝えた
反対された
お前は卵売り
養鶏場の主となると
生まれた時から決まっていると
真夜中
彼は風呂敷に少しばかりの荷を包み背負い
ひたすら
養鶏場外の
太陽昇る方角へ走り続けた
彼は 養鶏場へは一生
帰らなかった
彼は 自分の生を
自分で選び決めたのだ