詩人:どるとる
手の届かないものを追いかけてる
本当のことも嘘偽りも今は深い眠りの中で
心静かに落ち着かせて寝息の隙間に夜が流れている
遠ざかる光に手を触れようと伸ばした
僕の手は空を切るだけ
特別にはなれなかった
僕ができることは君ができることと同じ
目の届く範囲で音の届く範囲で生きること
心はビードロ 僕の心はひどく脆くて移ろいやすい
一箇所にとどまっていられない 光の速度で旅をするのさ
目には届かない光でも遠い星を掴もうとする人がいる
そこにあってでもどこにもない光 幻と戯れて呼吸するのさ
僕らは言ってしまえば小さな星屑だ
何も誇れるものありはしないけれど
誰か大切な人を思うような強い気持ちで日々を越えていく
夢から覚めると
何かをなくしたようで 心が空っぽのままさ
思わず気づくと手を伸ばして 何かをつかみかけたような
そんな気がしたよ
そして瞼開けば そこにはただ夜が猫の額ほども長く伸びて
壁ばかりの街にまた誰のためでもなく
風が吹くよ
これは全て夢だ
悲しいのも嬉しいのもわからない
ただ僕はまだ昨日以上に手の届かないものを追いかけている。