詩人:どるとる
喘ぎを上げて
弱ささらけ出した
夜がほら
彼方此方に散らかる
何も言わないままで
僕は書物を解き明かした
そして我が儘な方程式を世の全てと言い切るのだ
わからないものを超えて
そこにある全てを
嘗ての営みを
僕は知らない
だから残る
知り得ない過去
そこにある大凡
いつかの一件を
誰も知らない
だけど重なる
どこかで繋がる
あなたと僕が
繋いだ手と手が
伝え 伝わる
ぬくもりひとつ
形のないものまで
緻密に届ける
意識や思惑を無視して ひとりでに満ちる
愛のなせる技
全くわからない
霞がかかったように朧気な景色
それでも少しずつ
見えてくる世界
あなたという人の
輪郭をなぞり
何もなかったはずの
世界を夢で満たす
そして満ちる僕の心
もう持て余すことも有り余ることもない。