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[149741] 嘘吐きの国

詩人:どるとる


ここは嘘吐きの国
嘘吐きしか住んでない国
だからみんながみんな嘘ばかり言う
だけれどある人がそれを知らずにその国に住み始めた
当然その人は人間だから嘘もつくけれど嘘吐きの国の人たちほど嘘はつかないから
嘘吐きの人たちを信じては裏切られていた
だけれど不思議なのはいくら嘘をつかれてもだまされてもだまされてもその人は笑ってまあいいやとすましていた
やがて嘘吐きの国の人たちは嘘をつくのがつまらなくなって
嘘をつかれても信じてくれるその人のあまりの優しさと心の広さに嘘をつくことをやめた

それ以来 嘘吐きの国は雰囲気を変えて
互いが互いに助け合い協力しあい信じ合う
そんな愛の国に変わったとさ

そして人々の心にはあったかなぬくもりが生まれたんだ
たったひとりの人の力でおおきな国の闇は消え失せた

そしてその人はやがて年老いて死んでしまう
そしてその人が死ぬまえに残した言葉があった
人は人に信じられる から
人は人を信じることができる
人を疑っても得られるものはなにもない
もし信じてそのあげく裏切られても信じつづけることでいつかはその人の心を救えると言った
果てしなくばかばかしい気の長い話だと笑う人もいたけれど
それを聞いた街一番の嘘吐きの男は泣いて泣き明かしてもう俺は嘘で人を傷つけないと誓ったんだ

嘘吐きの国の人の心をわずかでも救ったその男の生き様は長く語り継がれることだった

嘘吐きの国でゆいいつ嘘に染まらずに人を愚かなほど信じ続けた人の話が語り継がれる

嘘吐きの国の黒歴史にきざまれた素晴らしい素晴らしい白歴史。

2009/11/10 (Tue)
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