詩人:高級スプーン似
中出しだけが
愛だって言うなら
この関係を
終わらせなきゃね
持たず
作らず
持ち込ませないよう
工夫して
平穏無事にヤッてきた
そのうち
服すら脱がさなくなって
となりに
きみがいれば幸せ
だとか
汁ひとつ溢さなくなって
何年だ
中出しだけが
愛だって言うなら
この関係は
フィクションですか?
思い描いた景色には
おぼろげに輝く結晶が
今は
見ないようにしている
けれども
背を向けたって
聞こえてくる泣き声
振り向けば
愛する人と育む筈だった
あどけない笑顔が
そこにあって
明けない未来を
不況のせいばかりにして
挿し込むことすら
拒んでいた
進展するのが怖くて
時間がそれを許さなくって
期待と心配入り交じる
周りの目や口が
うざったくって
しょうがなくて
幸せだった
ふたりきりの歳月が
ふたりから
逃げ場を奪い去ったとか
やめろ
全部俺のせいじゃないか
先に眠る
きみを起こさないように
静かにベッドに入る
掛け布団の下
ぬくもりを求めて
寝返りを打とうとする
きみを逃がさないように
そっと
手を握る
それだけの行為
それだけの行為が
やっとなんですが
うまれるものは
愛じゃないの