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詩人:高級スプーン似
カレー粉を入れたあとに
カレーを作り直すには
出来たカレーを
棄てるしかない
新しい一歩踏み出すたび
過去のつぶやきを
抹消する私
そうして
再出発だと自分探しの旅
これまでの自分を清算する
って言うけどさあ
ケリもオチもつけずに
手前勝手に
終わらせようとするなんて
終わってるよなあ本当に
煮込み過ぎたカレー
底の焦げた鍋
もうどうしようもなく
不味いな
どうしよう
棄てようとして気付く
空っぽになった箱に
何の兆しもありゃしない
貸した貸し
いつまで経っても
返ってきません
借りた借り
いつまで経っても
返せません
すみません
いくら謝っても
済みません
なんて呟いたか
覚えていません
だからって
都合よく
無かったことには
できません
不味いな
どうしよう
清算しようとして気付く
空っぽだった人生に
歩んできた足跡は
土に埋もれ
帰らぬ人は
行き場も失ってしまった
未来のない虚空を前に
ただただ
呆然と立ち尽くしても
何の兆しもありゃしない
終わってるよなあ本当に