詩人:どるとる
いやな記憶は
悲しい記憶は
どうしても我慢できないとき人は忘れたふりだと言うよね
僕は幼いとき
なんでもボックスというあるはずもないゴミ箱を心の中につくって
消えるはずもない悲しみやいやな記憶をそこにみんな放り投げていた
なんだかそうすれば救われる気がしてた
意外にも
だけれどだけれど
悲しみやいやな記憶などは僕にとって必要なものだと大人になって少し気づいたから
なんでもボックスをひっくり返して捨てていたすべてのゴミのような記憶をもう一度思い出してみた
涙があふれてしまうほどいやな記憶でもそれは紛れもなく自分の過去の記録
だから僕は心を決めて思い出してみたのさ
やがてすべて見終わったころ
僕は気づく
悲しみの底に眠る
雨上がりの虹のようなささやかな喜びに
そうだ 喜びや幸せは悲しみのあとに降り注ぐものだと気づいた
人生は雨を避けては通れない道だと気づいた
喜びはいつでも悲しみこえた闇の向こうにあることを
なんでもボックスは教えてくれた
もう必要ないね
なんでもボックスよさようなら
ありがとう
僕に大事なことを
教えてくれて
僕はまたひとつ
きっとね
大人になれました
失敗をしたから
成功した
そんな感じで
結ばれました
僕のこの物語
またひとつ
上向きにせり上がってゆく 少し希望の兆しが見えてきた
雲間から差す光
あれはきっと希望の光だね。