詩人:高級スプーン似
前へ進めなくても
前を向いていられるなら
生まれた場所が
墓場になっても
ハッピーエンド
もしそうだったら
イキ詰まる現代社会で
俯くしかない人間たちの
心に切り刻まれる
素晴らしい人生ですよね
そうかと思えば
将来に対する唯
ぼんやりとした不安を
理由に自殺する人も
少なくはないんだって
旧い作家の戯れ言だ
冗談だって笑えたなら
ぼくだって現実を
直視できるかな
心にかかるもやもやを
払えなくて
うんざりしている様で
その実
ほっともしてるんだ
いつしか
地面に四つ足をつけ
這いつくばって
必死に
生きもがくフリまで始め
こんな
可哀想なあたしも
頑張って生きているんだ
だから
あなたも頑張って
前を向いて生きようよ
意気揚々と嘯く私は
未だに
日の目を見ないけど
上も前も
向けないけれど
終わりよければ
全てよしとするなら
今すぐにでも
人生を終わらせるから
俺をハッピーにしてくれよ
うんざりする過程を
スキップさせて
待ちわびたエンドロール
はやく流してくれないか
誰かが唾を吐いた路地
擦り傷だらけのこの四肢で
これ以上
後退りもしたくないから
一瞥もくれない運命は
前だけを向いて
前にだけ進めない
ぼくらを置き去りにする
それでもまだ縋るのか
死にたいと
助けを乞うのか
生きたいと
前を向けずに
それでもまだ望むのか
ぼんやりとした不安を胸に
己の墓に添える一輪の
ハッピーエンドを
醜い顔
今は見せる勇気も無いが
生き永らえて
じっと待つ
望むいつかを狙おうと
たとえ小さくとも
前へ