詩人:どるとる
上から下まで真っ赤な服に身を包んだ白いお髭の初老の男
毎年12月になると人々の心におとずれるサンタのおじさん
街に鈴の音とともに舞い降りる
姿は見えず靴音も立てずによくお話にあるような煙突のない家でも偏見なくたずねてくるよ
サンタは嫌われても信じられず疑われても
いつもいつも笑顔だね
街に同じような格好をした人々がクリスマスをはやし立てる
なんだかどこか特別で
その日がくると胸が騒ぐ
不思議なクリスマスの魔法に世界はかかってしまうんだ
ほらまたサンタは今年もこの街にやってくるのだろう
その白い袋 いっぱいのプレゼントを老体に鞭を打ち担ぎながら
僕らの心の中を忙しそうに駆けずり回るのです
幼い頃は信じて疑わなかったサンタクロース
だけれど今はどうだ
クリスマスが来たってサンタよりもボーナスが気になるのです
それでもサンタは笑っているよ
涙もきっと夜になる頃には雪のように溶けて消えてくよ
冬の一大行事
今 静かに
軽快な鈴の音とともに
リンドンやってくる
仏頂面のトナカイにソリを引かせながら
僕らの夢の中で
枕元にプレゼントをそっと置いていくよ
サンタクロースがお父さんだってわかってても信じて疑わない子供は無邪気で健気でとてもかわいいね
だから大人になってから気づくよ
どうしてこんなにも変わってしまったんだろうと
僕はたずねるんだ
サンタクロースに
ねえなんでだろう?
こっちが聞きたいよ
あんなにすごく愛されたワシがなんでこんなに今クリスマスが来ても子供にしか喜ばれないのかと
恋人と過ごすだけがクリスマスじゃないのさ
たまには思い出して
ワシの存在
そう渋る
忘れ去られつつある
いるのかいないのか
わからないけれど
心の中に棲む
12月の風来坊
巷じゃハイカラにサンタクロースなんて呼ばれてる
年甲斐もなく真っ赤な服を着た老い耄れサンタさん。