詩人:高級スプーン
魚が横顔から
不気味に笑った
「オマエ
俺と同じだ」って
いつからか
笑わなくなった
生きているのが
やっとだった
いつも
ゆらゆら
揺れていた
古蝶のように
魚が微嗤う
「オマエの
体をくれよ」と
そうすれば
一つだけ願いを
叶えてくれるらしい
寒気がしたけれど
自然と頷いていた
魚は
僕を嘲笑った
死んだ目を輝かせて
「アリエナイモノに
縋る
オマエは何者?」
生きた心地のしない
この階を下りれば
変われると思ったのに
古蝶のように
ゆらゆらと舞う
水面下を
魚が笑った
僕の顔をして
2004/10/25 (Mon)