詩人:緋子
なにもかも吸収してくれる枕が欲しかった。
怒りのパンチ、
抑えきれない叫び声、
わけもわからず流れてくる涙、
ひとりの夜の震える身体。
なにもかも吸収してくれる枕が欲しかったのかもしれない。
鏡のように向き合えばすぐそこにあって、
ビニール袋のようにぱっと開く利便性があって、
ぬいぐるみのようにぎゅうぎゅうに抱きしめても壊れる心配はなくて、
ラインなんかよりも簡単に意思疎通できて既読無視の既の字も存在の余地もない位確実にわたしと縛り付けられるもの。
私は無機質で無感情な枕を愛してる。
2015/06/30 (Tue)