詩人:しゅんすけ
安物の扇風機の
すぐ下に切とかかれたスイッチを
その隣の一番弱い力を示すボタンと同時に押し付け
ゆっくりと
動力を司るボタンを解除していく
たった100ボルトの電圧で涼をもたらすモーターは
血液を失い惰性によりその意思を永らえようと府抜ける
ただひたすらに夏を謳歌した心臓は
微熱を纏い
その息を
その機関を
止められた
その機械に付属する無機質に時を刻む時限装置は
己がこの世でもっとも叙情的な機械だと言うことには気付きはしないだろう
人の数と同じだけ夜の数あり
時を刻む機械である以上
お前も差ほどの変わりはないのだよといっているくせに
私は
どのボタンも押し込めないまま
ただ
時の刻まれる音だけを
聴きながら寝るとしよう