詩人:どるとる
おとずれた朝
夜明け間近の朝
僕は光と影のさなか
船出を待つ待ち人
やがてまばゆい朝
おとずれる朝に
僕は静かに
オールを漕ぎ始める
目指す場所はどこだろうか
目指す場所なんて決めていたか
いつも後悔と失敗が僕を追い抜いてゆく
僕を追い越してゆく
輝く光さえ見つけられないままモノクロの朝がほら今日も来たよ 素知らぬ顔で
そんな 船出の朝
僕は暗澹たる
気持ちでむかえた朝
夜明けをむかえた朝
モノクロの心を
朝陽が申し訳程度に照らす 同情するみたいに照らす
そんな 船出の朝
僕はオールを手放してしまいたくなった
生まれたときから放すまいと握ってきたオールでさえいつの間にか薄汚れて手放したくなったよ
そんな船出の朝だから
気持ちも暗澹としているから
行き先など見えなくなるはずだ
そんな 船出の朝
僕は暗澹たる
気持ちでむかえた朝
夜明けをむかえた朝
モノクロの心を
朝陽が申し訳程度に照らす 同情するみたいに照らす
そんな 船出の朝
それでもおとずれた朝
夜明け間近の朝
僕は光と影のさなか
船出を待つ待ち人
やがてまばゆい朝
おとずれる朝に
僕は静かに
オールを漕ぎ始める
今 瞳に映るうつろな世界
今 僕の眼前 飛び込んできたゴタゴタ
静かに静かに生きていくしかなかった
命を投げ出す勇気もなく引かれた白線をはみ出す度胸もなくただ生きているしかなかった
ただそれだけ
いつも
なぜ?って聞かれても答はいつも多分変わらず
ただそれだけさ
そんな船出の朝だった。