詩人:高級スプーン似
心に労いをと叫び
演説する彼の声は騒音
足を止める人の横を通り過ぎ
心に労いをと叫び
熱唱する彼の声は騒音
足を止める人の横を通り過ぎ
心に労いをと叫び
気が狂う彼の声は騒音
足を止めた僕の前で捕まった
まだ何もしていないのにな
社会に触れるたび
擦り減る表情
今日すれ違った人たちは
どんな顔をしていたっけ
家に帰ると鏡が喋る
「それは
こんな顔だろう?」
のっぺらぼうにばかにされ
ど真ん中に空いた穴が私です
心に労いを!
精神を消費して
口々に唱える空洞の人々
願い虚しく
奇跡は起こらず
ますます増す心労の日々
それでも
足繁く通う路上にて
あなたの顔を見て
インスピレーションで
叫びます
お代は
アナタの気持ち次第
五月蠅えな
街中に
こだまする疲弊
心中で
絶叫する誰の声も無音
足を止める人の横で足を止め
動けない
響かない
届かない
心を労うその前に
踏み出す一歩がほしいのです
次回へ続く
もうひとあしが
足りない