詩人:どるとる
ただ一面 青く染まった空が ひまわり畑の上に 果てしなく広がっている
夏を待っていました
暑さを知らない少年が
あぜ道を駈けてゆく
真っ黒に焼けた肌と
白く残ったシャツのあと
駆け抜けた日々絵日記の中に閉じ込めた少年の夏
虫取り網を手に 麦わら帽子の君が あなたの胸の中にもいるさ
思い出してごらん
瞼閉じたら 誰の胸の中にもそんな少年がいるから
忘れていた 多忙な日々に隠れて 見えなかったいつかの青い空
夕焼け空と蝉しぐれ
麦茶の氷が鳴る どこかに置き忘れた時間
溶けてしまいそうな程暑くて長い夏の坂道
過ぎてしまえばまるで夢の中の出来事のような夏は幻
自転車に乗って 走り抜けて行く在りし日の君があなたに微笑みかけている
窓を開け鳴り止まぬ 蝉しぐれの彼方に浮かぶそんな夏の思い出
夏の思い出。