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詩人:さみだれ
俺はもう詩人としては死んでいるのかもしれない
何を書いても何も書いてないような空虚や
何のために書いているのかという迷いすら
だんだんと失われていくのがわかる
幸せという目に見えない魔物や
絶望という溶けきらない食物が
ただ窓の隙間を探しているだけで
そう探しているだけで
誰かを讃えようものなら
言葉は逃げるように去っていくし
何かを諭そうものなら
不完全な言葉が瓶詰めから出てくるし
そうだ
もう言葉は俺を選んじゃくれないんだ
だから俺はもう詩人としては死んでいるのかもしれない
今は墓から出て
土だらけの体を払い
鏡を見て驚いているにすぎない
これからもっと残酷な現実が待っていて
俺は何も持たないまま"生きて"いくんだろう