詩人:どるとる
僕は人気者の道化師
誰も偽善的なピエロ
みんなみんな
心の中に道化師を飼っているんだ
道化師さながら
みんな笑いたくもないのにね
愛想笑いにお世辞のパレード
おそれながらもやせ我慢の苦笑い
綱渡りに空中ブランコ
世の中に嘘で固めた笑顔を振りまいている
笑いたいとき笑っていて
泣きたいとき泣いている
そんな感情さえ捨てたら道化師になってしまうよ
笑顔だけで人は生きれない
だから弱虫ピエロでいいじゃないかい?
泣いていたほうが人間らしいから
悲しいときは悲しいなりに泣いてさ
うれしいときはうれしいなりに笑ってさ
そんな当たり前な毎日を生きた方が楽しいはずだ
そうはいってもそうできないもどかしさが辛い世の中だから
ピエロになるのを完全にやめることはできないけれど
それならピエロと人間の心を共有すればいいじゃないか
そうじゃないか
だから僕は感情を捨てずにピエロになって
心の中では笑っている そんな自分を
そしてそんな自分が情けなくて泣いている
サーカスのような世界の中ではじかれぬように生きていくことを嘆きながら
それでもピエロの役目をピエロは果たしてゆく 今日も
悲しいかな
それがピエロとしての仕事なのさ
だけれど心は置き去りにはしないよ
いつも心はずっと胸のあたりで高鳴っているんだ 同じリズムで時々はずみながら
弱虫ピエロは懸命に毎日を生きている
本当は弱虫なんかじゃないのさ
ただ誰もみんなサーカスから抜け出せないから ためこんだ涙が時々あふれるだけだ
今日もサーカス小屋の裏の茂みで泣いている僕なのさ
そっとそんな僕を照らしてた月だけが寄り添う夜なのさ
神も仏もない世界
血も涙もない世界
信仰心も向上心も
何もない僕だけど
これだけはわかってほしい
笑うだけがピエロじゃないってこと
見てほしいのは隠しきれない涙なのさ。