詩人:どるとる
誰かの涙を 心の中の画用紙に描いたら
目を開けたままじゃ見えなかった
夥しい傷跡がそこに見えました
誰かの瞳を 丹念に見つめて 見つめたら
言葉などでは到底語ることのかなわない
痛々しい物語が 聴こえました
あなたのその傷跡に 手のひらを翳させて
せめて僕に出来ることは あなたの痛みを 感じたように わかったように
あなたの気持ちに心を重ねてみること
たったそれだけだから
あなたを抱きしめて
「もう大丈夫」って 言いたい気持ちは
容易く 崩れてしまう
その傷跡から流れる涙で
ふやけた心が 涙の海に沈んで 沈んでゆく
もう捜せない 手を伸ばしても届かない
下手な慰めなら なんの役にも立たない
あなたのその傷跡に 僕の傷跡を重ねて
僕もあなたと同じだって 伝えたいんだ
愛されていること 愛していること
あなたの心すべてを理解することは出来なくても
物言わない時計の音が ただ命を切り刻む
僕は少しずつ 少しずつ形をなくしてゆく
僕らが生きる世界は毛糸玉
綻びの先で 一本の道が出来る
今日と明日がつながっているように
あなたのその傷跡に 手のひらを翳させて
せめて僕に出来ることは あなたの痛みを 感じたように わかったように
あなたの気持ちに心を重ねてみること
たったそれだけだから
あなたのその傷跡に 僕の傷跡を重ねて
僕もあなたと同じだって 伝えたいんだ
愛されていること 愛していること
あなたの心すべてを理解することは出来なくても
あなたの傷跡さえも愛してみせるから 愛してみたいから。