詩人:高級スプーン
忘れてくれ
言われたら
砂になって
風によって
サラサラと
吹かれて消えた
夢は常に皮肉です
残らない傷は
一生かかっても
手に入らない
砂にならない
風に乗らない
光は嫌な奴だ
己を強くしないと
立っても居られない
その点
闇の奴は優しい
弱いままでも
真っ白でも
汚れていても
大丈夫
何時でも側に
その代わり
見境の無い愛に
一度、身を委ねたら
抜け出せなくなる
原因は
僕にあるけれど
どんなに此処が
居心地良くても
忘れられずに
無い物を強請るから
見るのはいつも
光の射す方
真っ暗な屋根に遮られ
何も見えはしないのに
忘れられない傷
疼く
夢でも見れば?
皮肉な思考を恨みつつ
布団の中で
夜を過ごす
寝ていたら
砂になって
例によって
サラサラと
吹かれて消えた
忘れてくれ
忘れてくれよ