詩人:高級スプーン
まただ
彼女が発作を起こす
発端はいつも
他愛のない言い合いから
君の発言を途中から
聞くのをやめると
必ずこうなる
ワンパターンな症状を
苦痛に思ったら
彼女に毒なのに
最近は
ジャンプより
ヤンマガが好きで
娯楽への視点変化が
大人になった証拠だなんて
くだらねぇな
そりゃ政治家も神様も
僕になんて注目しない
見つめてくるのは
君だけ
大切にしないと
代わりはないしな
格好だけでも
善い笑みを零せ
見抜かれなければ
本物にならないかな
蛇に足を足したような
世話を焼いて
君はアリガトウって
お礼をくれた
これが
ドブネズミみたいな
美しさですか
愛がないせいか
お世辞でも
綺麗だとは言えない
それなら早く
別れてしまえ
何やってんだ
僕が家庭用のゴミか
チーズだったならな
どうでもいいから
さっさと働け
僕が何かを言うと
彼女は呼吸が早くなる
僕が何も言わないと
彼女は自分を殺す
虚ろな瞳のまま
暴れだす
物を投げる
僕に当たる
いつも通りの展開なのに
変わらずに
鎮火するのを待つだけ
膝を抱えて嘆こうか
頭を抱えて悩もうか
君を抱えて重たいな
腕がもう限界だ
うんざりするなら
彼女と別れろ
これ以上
一緒に居る意味あるのか
肩が重いし
胃は痛いし
肌が荒れて
枝毛は増えるし
最悪だよ
愚痴る彼女に
かける言葉は
決まっていつも
気にするな
可愛いから
だって
一緒に居ると
欝が伝染ると
言ってしまった
彼女は咳き込んで
嗚咽混じりの涙を流す
別れようかと
投げ掛けて
取り消して
謝るのはいつも僕
彼女は頷き
仲直りのキスをする
何やってんだ
離れられないのは僕の方
病気を感染したのは僕だ
結婚すれば幸せになれる
クソみたいな幻想だな
早く別れろ
NO WATER NO LIFE
潤いのない人生なんて
耐えられないな
しかしドライ
彼女の流す
涙を飲むと
余計に喉が乾く
無性に胸が騒ぐ
僕に愛がないから
餓死寸前なのは
君の方なんだ