詩人:どるとる
嘘ばかりの大人のなかで 少年はひとり
生きていた
どうして大人は嘘ばかりつくのかな 不思議だった
愛想笑いにお世辞がついた Aランチ 猫なで声で頼むのよ
あの日見上げた空はただ果てしなくって
どこまでも透き通っていた
それなのに それなのにどうして 僕はあの頃の大人みたいに生きてるんだろう
ノルマばかりを気にしてる 働くだけで1日が過ぎてゆく
ネクタイ締めたおんなじような大人が帰りの電車で寝てる
夜の改札口は 人気もなく 僕を訳もなく 切なくさせるよ
あの日僕が立っていた世界は今と違って優しかった
僕が変わってしまったのかな
変わってしまったのは世界かな
あの頃の僕とおんなじ目をした僕の子供が僕を見て
不思議そうに僕に聞くのさ 大人ってどうして嘘ばかり
ああ 嘘ばかりなの?
僕は応えられなかった ただ笑っていた
あの日見上げた空はただ果てしなくって
どこまでも透き通っていた
それなのに それなのにどうして 僕はあの頃の大人みたいに生きてるんだろう
もしももう一度あの頃の気持ちに 戻れるとしたら 子供にも嘘偽りない気持ちを
さらけ出せるのに
教えてあげられるのに
少年は僕のなかにはもう いなかった。