詩人:さみだれ
夢の端っこで
膝を抱えて座っている
チューリップの名札
握っても形は崩れない
あなたは僕を知らない
こんなちっちゃな僕を知らない
この僕に話しかけてごらんよ
きっと泣いて抱きつくぜ
夕暮れに顔もおぼろげになっていく──
あなたは僕の夢のあちこちにいて
僕が見つけるといつもすぐどっか行って
顔は覚えてないけど
なんとなくいつも"いる"ってわかるんだ
きっとあなたは幽霊なんだ
それかただの人見知りだ
目を覚ますと夜になってて
カエルがたくさん鳴いている
近所のおばさんよりも長話だ
ふとあなたがいないかと
部屋の中を見渡した
それから窓を開けたり
昔のことや明日のことを思ったりして
やっぱりあなたは"いない"んだ
騒々しいカエルの宴に
もの悲しさを感じた