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詩人:山姫
君とドライブに行った
あてのない小さな旅
地図なんていらない
今日は時計も見ないことにしよう
仕事の事も全て街に残したら着の身着のままどこにでも行けるだろう
自由な翼を借りた今の僕等はどこにだって行けるから
思いつく場所全てが目的地に変わるさ
木漏れ日を走りぬけ
知らないお店のアイスを食べて
夕焼けを大きな虹みたいだと二人で笑い
夜風が君の髪をなびかせた
「次はどこに行こっか」
「あそこにはまだ行ってないね」
僕の言葉に続いて君が「あっち」へ指を動かす
僕は細い人差し指を追った
「あんなに綺麗なんだもん。次は兎のお団子食べに行こうよ」
悪戯っぽく微笑む君につられて僕も笑う
そうだね。全てを置いて軽くなった今の僕等なら
月にだって辿り着けるね