詩人:チェシャ猫
ほんのこないだまでは
キミと手を重ねて歩いたこの道
新緑の木々達はすっかりと衣替えを終えて
ボクの寂しさにそっと後押しをする
なにかが足りなかったわけじゃなかった
ましてや気に入らない所があったわけでもなかった
昔、オレがホレた女がこんなことを言っていた
「貴方が好きだから付き合いたくない」
あの時のオレにその言葉は難しすぎて
わかったふりして心のどっかに閉まってた
随分時間がかかってしまったけでど
今ならその意味がわかる気がする
満たされすぎていて怖い
いつかすべて
泡のように消えてしまうんじゃないかって・・・
自分勝手だって思うかもしれない
酷い男だって思われるかもしれない
ボクはそれでもかまわない
この先、キミにもっと深い傷を刻んでしまうくらいなら
風に吹かれ漂うキンモクセイの薫りにつつまれて
この道をまたたった一人で歩き出す
カサカサとゆれる落ち葉の音を聞き
捨てたものの大きさに気づく・・・