詩人:タキシード詩者
操り人形は可愛く踊り、ピエロは持ち前の明るさで皆を笑わせる。
あの猛獣使いはあんなに大きなライオンに言うことを聞かせてなんて凄いんだろう。
空中ブランコで空を飛べたらどんなに気持ち良いのかなぁ??
“サーカスは夢がいっぱい”
誰がそんなことを言ったんだい??
人形は操る人間がいなければただのクズ。
ピエロは団長が憎いけど、お金の為に仕方なくおどけたふりをして、影では子供を固い靴で蹴り飛ばす。
猛獣使いは餌で奴らを率いていて、いつ自分が餌になるやら気が気じゃない。
空中ブランコのあの子はいつか落ちてしまいたいと思いながらギリギリのところでやっているのさ。
“皆ギリギリ”
人形使いは自分の人形に飽きたのか、つまらなそうに人形の足を掴む。
ピエロはまだ芸の出来ない子供が泣いているのを見て、愉快そうに腹を抱えて笑う。
猛獣は餓えた目で檻からテントの中を見回し、牙をちらつかせながら舌なめずりする。
“サーカスは闇なんだ”
ほら、ブランコの少女を見て。
ブランコにかけた手を放して。足を投げ出して。
向こう岸に渡らなくちゃ。
さあ、もう一方のブランコの男の手に…
“あっ!!”