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詩人:梅宮 蛍
爬虫類を飼っています
雌のヒョウモントカゲモドキです
名前をレオと言います
洋名のレオパードゲッコーから採りました
彼女は時折卵を産みます
無精卵です
放っておくとカビるので
私はそれを生ゴミに出します
ゴミに出した卵はとても臭いです
きっと栄養価が高いのでしょう
だから私は早々に
三角ネットごと紙袋にくるんで
他の燃えるゴミとともに
集積所へと持っていきます
爬虫類の卵は 食べられません
無精卵なので 孵化もしません
卵を産んだ彼女は
いつもとても痩せてしまいます
私は甲斐甲斐しく餌を与えます
丸々と太った彼女は
また卵を産みます
そうしてひと月かけて4つほど
産み落とすまで
私と彼女のルーティンは続きます
排卵は
いつの時代の
どんな種族にとっても
命懸けです
そこには生命の神秘と苦しみが
つきまとうのです
卵管に卵を詰まらせ
死ぬ個体もあると聞きます
だけど
ああ だけど
私はソレを生ゴミに出します
彼女の命がけの産物を
食べられないので
臭いので
カビるので
簡単に生ゴミにしてしまうのです
いとも簡単に
そうして今日もふたつ
捨てました