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詩人:右色
誰かと誰かの間で
だんだんと言葉が少なくなってゆく
それは「仲良く」なったということ
話さなくても分かること
話す必要がないこと
話せないこと
そういうものを知ってゆくのが「仲良し」
最初は知りたいことがあった
だけど
話す言葉を選んでいたら
そんな暇も余裕も全て無くなった
そう
とても分かりやすい形で
目的が手段に喰われてしまったんだ
目的化した手段には終わりが来ない
だから
私の話に終わりが無い
始まりさえ無い
ストーリーも無ければ
感傷も無い
つまらないならまだいい
最悪なのは
何よりも私自身が楽しんでしまっていることだ
目的の無い行為は
瞬間瞬間が快楽だから
心弱い私は足を止めながら
天空を駆ける夢を見る
――ああ
だから
仲良くしないでくれ
言葉を消さないでくれ
私は醒めぬ夢を見てしまう
終わらぬ夢を語ってしまう
その地平は
私にとってのみ最上であって
他の誰かにとっては無意味な巨大なのだから――