詩人:甘味亭 真朱麻呂
偽りの瞳で
見つめた世界は
美しさの欠片もない汚れきった世界
片目を閉じて
義眼で覗く暗闇の世界
初めは恐れていたけれど
時を重ねるうちに恐れはだんだんとなくなってきた
町は偽りと憎しみに溢れ
昔のような優しさや温もりは時代遅れと化してしまった
もはや時代遅れの僕が町に居残る理由はない
僕は町をでるよ
こんな町でてやるよ
もうこの町に用はない
義眼にも用はない
僕はこの退屈な世界からある場所へ旅立つよ
僕がいるべき場所へ旅立つよ
くりぬいた義眼を闇に投げ
僕は閉じていた真実の眼で
最後に世界を眺めよう
冥土の土産に眺めとこう。