詩人:高級スプーン
校庭の隅っこ
置き去りになっている
レンガの下
ムカデやダンゴムシや
名前も知らない虫達に
入り交じって
唄を聴いている
石を投げられても
罵声を浴びても
倒れなかった
不幸の象徴を
主人公にした唄
飛ぶように売れて
皆に支持されている
物語の中じゃ
あんなに嫌っていたのに
見方次第で
味方になるのか
一つの出会いが
孤独の象徴を
誇り高き騎士に変える
そんな出会いがあればな
望んでばかりいる
誰かレンガを退けてくれ
助けを求める
気分はお姫様
じめじめした地面にも
苛立つ現状を
忘れるように
唄を聴いている
ハナウタまで出る始末
ご機嫌だぜ
躁BAD
たった五票の
正しさにも負けて
逃げ込んだ先は
社会の隅っこ
誰も気付かない
レンガの下
潜って実感したのは
ここも結構
リアルだったって事
精巧に創造られた世界に
抜け出す隙間は
どうやら無いらしい
裏切る友達さえ居ない
自らを守ってばかりで
走る先を見失った
細くなる足が
動かなくなる前に
目的をくれないか
レンガを退けたら
虫達は一目散に逃げた
僕は残るから
準備は万端だ
後は待つだけ
心優しい貴方を
唯一の希望は
痛みだけを残して
激しい曲に乗って
走り去ってしまった
苦しみだけが
生きている証拠だなんて
あんまりだ
黙りだ
だけど
何もないより
マシなのかと
疑いながら
信じている
繰り返される人生の中
何もなかったように
リピートされる
唄を聴きながら
やっぱりハナウタ
思わず笑った
涙も出ないから
地球の隅っこ
置き去りになってる
レンガの下
陽の目を見るのは
今日だと良いな
気長に眠り姫
んんっんー
んんっんー
唄を聴いている
ハナウタまで出る始末
ご機嫌だぜ
躁BAD