詩人:けむり
連れて行って
どこでもいいよ
ここじゃあないどこかなら
嫌いなんだ
ここにいるぼくが
ただ生きてるだけ
それだけなら
いらないみたいじゃない
優しくしてくれる人はいるよ
理解しようとつとめてくれる人もいる
でもぼくからすりゃミジメになるだけ
ときどき
消えてなくなりそうになる
目をとじて春の風に吹かれたときなんかに
フッとこの世界にいない自分を感じる
その刹那
ぼくは解放されている気がするんだ
汚れのない透明を感じている
切り裂いて
なにもかもをだよ
本当にぼくを手に入れたいと思うなら
いらないんだ
この街のなにもかもが
傷つけ合うために動いているだけ
静寂を望むなら
全て壊してしまうしかないじゃない
欲しいのは震えそうな沈黙
こまごましたものに囲まれていると
あんたまで汚れて見えるから