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詩人:中村真生子
ところで
「葉っぱのフレディ」にはいとこがいました。
(あくまでも自称であるが…)
名前は八之助で森に住んでいました。
黄緑色の春が終わり、深緑の夏も過ぎて
秋になると八之助は黄色くなりました。
ちょうどいとこのフレディが木から離れたころ
八之助も木枯らしに吹かれ
色づいた体を地面の上に横たえました。
八之助が周りを見ると
次郎や三郎や四郎や
たくさんの仲間たちが横たわっていました。
八之助が耳を澄ますと
くすくす笑う声が聞こえてきました。
不思議に思っていると
体がむずむずしてきて
八之助もくすくす笑い出してしまいました。
見ると小さな生き物たちが
ぺろぺろと体をなめているではありませんか。
小さな生き物たちは幸せそうで
八之助はますます愉快になってきました。
気がつくと八之助は小さく小さくなっていました。
そして雨と一緒に土の中へと入り込み
地下水に乗って長い長い旅をしました。
ある日
八之助は広くて明るいところに出ました。
海でした。
八之助はなんだか懐かしい気がしました。
そこに森があったからです。
植物プランクトンたちの海の森でした。
八之助は珪藻と結ばれて森の一部となりました。
つづく。