詩人:どるとる
見えない何かと向かい合っている
見えない何かに見つめられている
それはなんだろう わからないけどわかるんだ
見えない時の積み木を きりもなく積み上げている
多分重みに耐えきれなくなって積み木が崩れるまで
今日も こうして長かった一日が終わるんだね
気づけば 帰り道 赤い夕日に照らされた街並みに明かりが灯る
何も見えない 何も聴こえない無意識の中
大事なものだけが 光って見えればいい
何もわからない 何も感じない 眠りの中
ただ形あるものだけが存在するこの世界
心を揺らすものはいつでも見えないものなのに 透明というだけですべて幻と呼ぶのか
触れられるものと触れられないもの
どちらがほんとでどちらが嘘だろう
それは誰が決めるのだろう それは誰が教えてくれるだろう
目を閉じてもここにあるもの それは残像のように焼き付いて
はじめから見えなくても それが何かわかるもの
手のひらを伝って伝わる手ざわり 生まれる命
何もかも後片付けされたような暗い夜に 光は何を照らすため輝く?
見えないんじゃなく見ようとしないだけ
ここにあってどこにもないほんとの嘘を
何もわからない わからないのにわかる
矛盾したこの世界 何もかもが意味を持つ
聴こえているものや見えているものが
一つ一つ音や形を持っておらずとも 僕にはわかるんだ
指先からこぼれ落ちる小さな時の砂
どうしようもなく生まれる隙間から
さらさらとこぼれていく さよならをはらんだままの日々
何も見えない 何も聴こえない無意識の中
大事なものだけが 光って見えればいい
何もわからない 何も感じない 眠りの中
ただ形あるものだけが存在するこの世界
心を揺らすものはいつでも見えないものなのに 透明というだけですべて幻と呼ぶのか。