詩人:どるとる
いつもの要領で今日もなんとか乗り切った
プラスマイナスで失敗も後悔もなかったことにして
明日にはまた明日のゴタゴタがあるから
今日の疲れを明日に持って行くのはよそう
おつかれさまと声をかけられてもうんともすんとも言えない僕だけれど
疲れたからだに染み入る缶コーヒーの苦みと甘さ
のどを熱く通り抜けてゆく
気分がいいときはおつかれさまって言われたいけど
できることなら気分が悪いときは何も言わないでほしい
そんな僕にまたおつかれさまと声をかける後輩の声
それはそれで優しいからおつかれさまと返すべきはずなのに
僕ってやつはなんて薄情なのかな
おつかれさまの言葉にさえ無視をして立ち去る始末
今度会ったらきっとおつかれさまと返そう
おつかれさまと言われなくなるまえにおつかれさまと返そう
心に決めた6時過ぎ
電車に揺られて
吊革につかまって
うかつにも眠ってしまう僕
今僕は気づいたんだ、あなたのおつかれさまがなかったらきっともっとさびしいだろう
だから僕は言えなかったおつかれさまを明日こそは君に言おうと思う
ため息ばかり聞こえる終電間際の電車の中で僕はため息のかわりにおつかれさまと小さく君に言うよ
僕と同じで君も同じように疲れているはずだから
頑張った者どうし交わすべきなのさ
おつかれさま
おつかれさま
明日は言うよ…
どんなに疲れてたってきっとおつかれさまが欲しいから
僕も同じで君も欲しかったんだろう
だから僕もお返しさ
おつかれさまでした…
目上にも目下にも敬意を評そう。