詩人:高級スプーン似
どのような意図をもって
設計されたのかもわからずに
窮屈なトンネルを抜けていく
天地の境目すれすれに飛ぶ
ピンポンと跳ね返る音を残し
去り際までに振り返らずに
けれども
辿り着いたこの場所は
まだゴールには程遠い
無邪気に笑い
苦悩しないた
いくつもの難題を抱え
ある時は壁にぶつかり
ある時は途方に暮れた
向こう側に期待しては
それだけで満足をしたフリ
奇矯な振る舞い
黙って堪えて
悲しくなって
抱きしめるのはぬいぐるみ
感じる温もりは
生き滾る自身の血潮だと
気付かされてまた
なけばいいのに
すぐにでも
そうしないのは
強がりなのか
他の望みを外界へ
蹴り落としてまで
託す未来は見えなくて
客観的に理解すれば
面白おかしく
涙が出るよ
やがて
同じトンネルを潜る我が子へ
その心
伝える仕組みはなく
少しだけ形を変えて廻る命
根源
尽きて
果てること
迷うに及ばず
躊躇なく殺してしまえ