詩人:どるとる
見えないものが
あまりに多すぎて
聴こえないものが
あまりに多すぎて
僕らは目が見えていても
僕らは耳が聴こえていても
大事なものを見過ごし聞き逃してしまう
この世は 鏡の世界
いつも他人に自分の心が映る
他人のとる行動に いつも自分の悪を見る
他人が誰かを傷つける様も然り
他人が誰かにつく嘘も然り
適当に相づちをうち人の機嫌をとる様も然り
心はいつも誰かの姿を写し取っている
あなたのとる行動がほかの誰かの姿に重なり
ほかの誰かのとる行動があなたの姿に重なる
それはまるで 無いものをあたかもそこにあるように見せる
嘘出まかせのパントマイム 本当は何ひとつそこにはありゃしないんだよ
ただ皆が皆同じ「弱さ」や「脆さ」を胸の内に飼っているだけ。