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詩人:猫の影
届かない人に恋をする。
届かないから失うこともない、
甘くて半端な、冗談みたいな恋。
傷つくことも傷つけることも、
満たされることも満たすことも、
何もない、ただ想いだけが、
ふわり宙に浮かぶ。
決して届けるつもりもない恋。
連絡が来て喜んで、
気遣われただけで舞い上がって、
頼られたら涙して、
顔を見たら幸せすぎて倒れそうで。
だけどそれも全部閉じ込める。
深く深く押し込める。
多分ずっと好きだけど、
言葉には決してしない、
してはいけない。
ただただ、胸の内にしまったら、
唇をキュッとかんで、
とりあえず今日を生きるのです。