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詩人:柚
疲れたなと思いながら
冷たい風に身をまかせ
駅のホームに立つ
もう桜のつぼみもふくらんでいるのに
自動販売機の
"あったかい"コーヒー
でも電車があと5分で来るから
思い描くだけ
ふと辺りをみまわせば
もう夕暮れなんだね
オレンジの優しい光が
僕の胸のところを包んで
思わず微笑んでしまう
そんな太陽に大きな群青色の雲がかかって
海と空がひっくり返ってしまったよう
僕はケータイに納めたくて
人目を気にせず夕暮れを撮ろうとしたけれど
心のレンズで写した
そのままの景色の方が
100倍もキレイに感じて
誰にも気付かれないように
胸の奥の写真家にお願いした
いつの日かまた思い出せるように
丁度来た電車に乗って
僕はずっと
ずっと外を見ていた