詩人:さみだれ
彼女の細い指がしなやかに伸びて
猫は顎を引き身構えた
彼女の指は機械のように生気をなくし
止まっていた
それはひどく寒い日のことだった
人類は移住する星を探していた
大気、温度、水
すべて同じというわけにはいかない
しかし、人類は探していた
少しでも可能性があるならシャトルを飛ばした
その結果多くの人が行方不明となった
そして彼はスープを飲む
日常を端から眺めながら
彼の目には忙しく生き急ぐ人たち
その凡庸を嘆いていた
今までができすぎていたんだ
彼だけがただ
私の愛する人は
星の海、その対岸にいる
彼女が何をしているか
どんな気持ちでいるのか
ここにいる私にはわからない
そこに飛び込むだけの勇気が欠けていた
このさみしさを吐露するだけの勇気はあったのに